ショールームをムダな空間にしない!効果的なショールームを作るには
ショールームを作るだけで満足していませんか。ショールームは自社の商品アピールの場ですが、やりがちなのは自分がアピールしたいことばかり強調することです。特に東京はショールームが多いので、他社と見比べられがちです。お客様に効果的にアピールできるショールームとはどのようなものでしょうか。
自社の魅力や強みを再確認
ショールームを作るなら、まずは「自社にどんな魅力があるか」を具現化させましょう。たとえば工業製品なら「自社製品は○○ミクロンまでの小型化に成功」など、自社の強みがはっきりしています。製品見本市ならこれだけで良いのですが、消費者が直接訪れるショールームでは足りません。では、何を加えたら良いのでしょうか。
■来客参加型のショールーム
ショールームデザインには多くの種類がありますが、近年は「来客参加型」が人気です。前述の「○○ミクロンまでの小型化に成功したアイテム」なら、このような形のショールームはいかがでしょうか。
「顕微鏡で覗いたように見せる演出」「製品に近い大きさのもの(たとえば太さ50~100ミクロンの髪の毛の断面、170~290ミクロンのゾウリムシなど)のスライドを複数用意して、製品の横に並べてもらう」このような演出で、お客様は楽しみながら製品のサイズが実感できます。これらの演出は、特にお子さんに強いインパクトを与えるでしょう。
有意義な時間を過ごせたと思ってもらえる空間づくり
近年はネット上のバーチャル空間でショールームを出すことも増えています。バーチャルショールームは製品の詳細や歴史など、情報を伝えるのには有効です。
しかし現物に触れ、体験するインパクトは、本物のショールームしかできません。わざわざショールームまで来てくれる方は、あなたの会社のファンになる可能性があります。ぜひ将来のユーザーになるかもしれない来客に満足してもらいましょう。
■本物に触れる、体験する
実際に製品に触れてみる、製造キットで作る、という体験型のアトラクションは来客に人気です。たとえば有名なドーナツメーカーではショールームでドーナツ作り体験ができます。
これは店舗で使っている機械や材料を使った本格的なものです。いつも何気なく食べているドーナツの「作る」側を知ることは、体験者に強い印象を残すでしょう。体験型ショールーム最大の強みは、五感で触れることです。
■ショールームだけの限定品
ビール工場など、嗜好品のショールームでよく見られます。ショールーム併設の売店で市販されていないレアな商品を売ることで来客の満足度を上げます。併設バーでほとんど市場に出回らない高価な酒を1杯数千円で出すショールームもあります。これらは客寄せになるので、ショールームに人を呼びたい時におすすめです。
転売目的などで買い占められるのを防ぐために、個数制限を設けましょう。日用品や食品メーカー以外は難しい方法ですが、それ以外のメーカーなら次の「お土産」でアピールできます。
■知的好奇心を満たす、喜ばれるお土産を
ショールーム見学のお楽しみといえば、お土産です。来客にとっては、無料で楽しんでお土産まで貰えるというのは満足度が高く、印象がとても上がります。食品メーカーならサンプルを渡せばよいですが、機械製造やインフラ整備の会社ならどのような土産が喜ばれるでしょうか。
ある製鉄会社は見学に来た児童に鉄の製造過程をデザインした下敷きを配っていました。身近な鉄がどうやって造られるかを知るのは子供にもワクワクするものです。専門用語をたっぷり使った、専門性の高いデザインも喜ばれます。
テーマ・コンセプトがはっきりしていると◎
事業展開を広げた会社だと、テーマが抽象化しがちです。「未来のために」や「SDG‘Sが」と無難にまとめがちですが、それだけで終わるのはおすすめしません。抽象的なテーマとは別に、具体的なコンセプトを決めることが印象的なショールームデザインに繋がります。ショールームのテーマカラーと製品配置を厳密に決め、それから外れない程度に遊びを入れると印象的なショールームがデザインできます。
工業機械のメーカーならコンセプトを工場現場風にするのも良いかもしれません。事業が多岐にわたる会社なら、1部屋ごとにテーマを分けるのも良いでしょう。美術館は1部屋ごとに紹介する作品やテーマを変えますが、それに近い造りです。部屋ごとに内容が違っても、デザインを統一すれば来客は混乱しません。
ショールームを作ると、つい自社製品の良いところをアピールしがちです。しかし、アピールよりもまず来客を喜ばせることが大切です。その商品の歴史、生まれた背景などのストーリー、製品が生まれる過程、原材料はどこから来るのかなど、一つの商品の背景を楽しんでもらいましょう。ショールームでは自社アピールだけでなく、業界全体のアピールにもつながります。普段なかなか知ってもらう機会がない製造過程や隠れた凄さを知ってもらいましょう。