ショールーム制作には「コンセプト」が大事!コンセプトの決め方とは
ショールームは来客に自社製品をアピールする場ですが、近年はそれだけではありません。自社に親しみを持ってもらう、自社が関わる業界全体のアピールなど、進化したショールーム制作が求められます。特に東京で作るショールームデザインは他社とは異なるアプローチが必要。来客が良い刺激が得られるショールーム制作を意識しましょう。
ただ展示していては十分な効果が発揮できない
ショールームにありがちな失敗は自社製品の展示だけで終わること。業者同士の商談の一環だけでショールームを使うならこれでも構いません。しかし、子どもから大人の来客を意識するショールームでは価値観の押し付けになるかもしれません。自分をアピールするときに、自分の要求ばかり言えばヒンシュクを買ってしまいます。
では、来客ファーストのショールームはどのように作れば良いのでしょうか。来客の記憶に残る魅せ方をするために、まずはコンセプトを決めましょう。コンセプトさえはっきりすれば、来客に何を伝えたいのかが明確になります。
コンセプトを決める意味はあるの?
コンセプトとは「物事の根本を捉えた概念」のこと。あなたがショールームでお披露目したいものがどのようなものか、相手に伝えるためにはまずコンセプトをハッキリさせましょう。
■コンセプトは「実物」+「概念」
たとえば、ネジの展示がしたいとき、ネジというものが他者にどう見られるかを考えます。日本ならネジを見せたら、ほぼ全員が工業に欠かせない部品だと認識できるでしょう。しかし、ペットの犬、猫に見せるとネジはどう見えるでしょう。小さな固いものにしか見えないでしょう。「ネジ=小さな固いもの」というのが「実物としてのネジ」です。
ここに「日本で9000億円市場」という概念を付けると、聞き手は「儲かる重要なもの」だと驚くでしょう。「紀元前から存在する」という概念を付けると、小さなネジに長い歴史があることが分かります。「産業の塩」という概念を付けば、どれだけ社会に必要なものか理解できます。コンセプト一つでネジのイメージが大きく変わります。コンセプトはショールームデザインの基礎になるもの、時間をかけて、できるだけ正確に表現しましょう。
コンセプトの決め方
では、コンセプトはどのように決めれば良いのでしょうか。まずは実物を厳密に定めましょう。実物をきちんと決めないと、来客にうまく伝らない可能性があります。
■「実物」をはっきりとさせる
実物とは、ショールームで見せたいものの原型です。実物はできるだけシンプルに「対象を全く知らない人がどう見えるのか」を意識しましょう。ランドセルなら「かばん」、スマートフォンなら「四角い金属片」、服のボタンなら「丸くきれいな石」なら実物に近いでしょう。
「近代文明、社会を知らない人がどう見えるか」を意識すると、よりはっきりします。実は、いちばん身近な社会を知らない存在は未就学児の子。子どもの斬新な発想に驚かされるのは、大人の常識がまだ身に付く前で独自の解釈をするためです。小さなお子さんがいれば、対象物を見せて何に見えるか聞くのも良いでしょう。あっと驚く実物を教えてくれるかもしれません。
■コンセプトを付ける
ランドセルを紹介するなら「かばん」という実物に「軽い」というコンセプトを付けるとどうでしょうか。お子さんの負担になりにくい、通学しやすいランドセルだと客が認識できます。「創業60年の」というコンセプトなら、伝統のある信頼性が高いランドセル会社だと印象付けられます。「実物」+「メインのコンセプト」を決めて、この後に「サブのコンセプト」を付けると紹介は無限に広がります。
コンセプトを明確にして素敵なショールームを作ろう
コンセプトが明確にできれば、来客に良い印象が付けられるショールームデザインが作れます。テーマパークのような誰もが楽しめるデザインでも、博物館のようなマニア向けのデザインでも、芯の「実物+コンセプト」があれば質の高いものが作れます。多くの会社では魅せ方に注力しがちですが、本当に必要なのは実物とコンセプトです。ここが曖昧だと、テーマパーク風にしてもただ楽しんで終わりかねません。
逆に、しっかり芯があれば、たとえ一部の人でも深く印象が刺さるショールームになるでしょう。ショールームの目的が広く多くの人に印象を付けたいのか、一部の層だけでも深く印象付けたいのかでデザインは変わります。
ただ製品を並べるだけ、のショールームデザインは東京では少なくなりました。しかし「明確なコンセプト」を持って運営するショールームがどれだけあるかは未知数。紹介したいものの実物とコンセプトをはっきりさせることがショールームデザインの第一歩です。それをどうやって伝えるかがデザインや魅せ方の技量が試されます。実物とコンセプトの立て方は、製品ジャンルが多い企業ほど苦労するでしょう。その場合は部屋ごとにコンセプトを分けて、デザインを統一させると来客の理解が進みやすくなるでしょう。